国税を公務員試験予備校のスタッフに薦められたのだが・・・(質問への回答)

 私の著書『スピード解説 文章理解』好評のせいか、2016年(平成28年)末より公務員志望者からの質問メールが増えている。正直なところ、メール・マナーを守らない人が多くて辟易しているのだが、これからも可能な限り丁寧に返答し続ける所存である(ただし、今後はメール・マナーが守られている人限定にする)。

 さて、このような質問が複数あったので、今後もあるやもしれず、ここでご回答申し上げる。
 いわく、自分は地元の市役所や公的企業などを志望しているのだが、予備校から国家一般や国税なども受けろと言われるが、どう思うか。

 以下、回答はあくまで一般論である。

 君に直接そのように言った予備校のスタッフは、もしかしたら善意の気持ちでアドバイスしたのかもしれない。君に公務員という身分(※下注1)を手に入れさせようと、少しでもそのチャンスを増やすべく、そのように言ったのかもしれない。

 一方で事実として、国家一般を受けるとなると、当然のことながら専門試験は必須となる。国税を受けるとなると、会計学や憲法論文などの専門論文も必須となる(※下注3)。予備校側からすれば、志望者の受験科目が増えるということは、それだけ売れる商品が増えることを意味する。
 ということは、予備校のスタッフが、君の経歴や適性を無視して、売り上げ向上のためだけに、国税などを薦めている可能性を、論理的には否定できない。

 ここでキーポイントは、そう言うスタッフは君の適性を把握したうえで発言しているのかどうかだ。もちろん、どのように君の適性を把握しているか尋ねてみるといい。もし、君の適性はおろか、一般論としての国家一般職・国税専門官の適性を語らず、単に受験機会の増加だけを語るのなら、そのスタッフは売り上げだけを考えて君の将来を無視しているか、何も考えていないか、そのどちらかだ(※下注2)。


 ただし、ここで公平に言っておかなくてはならないのが、予備校は売り上げを上げなければならない民間企業なので、そういう営業行為に何ら不当性があるわけではない。営業行為に対して、消費者である君が賢く判断すればよいだけのこと。必要があると思うのなら、その商品を買えばよい。

 さらに、公平に言っておかなくてはならないのが、「本当は市役所に行きたいのに、国税もうけなきゃならないのかなぁ」と迷っている君の、その市役所勤務の適性を問わねばなるまい。君に本当に市役所への適性があるのかどうか。自分自身が自身の適性を無視して、勝手に市役所を志望する人も結構いる。適性がないのなら、筆記試験は突破できても、人物試験で落とされる。志望と適性は別物である。

 君は予備校のスタッフの助言に悩む前に、本当にその第一志望が君の適性を考えて正しいのかどうか、つまり採用される見込みが高いのかどうか、君自身に問わねばなるまい。

(注)
1 「公務員」は職業名ではない。あくまで身分を表す呼称である。ここのところを勘違いしている人は結構多い。それは当然、私のような若者を送り出す側も、若者を受け入れる官庁側も、困ったことではある。

2 残念ながら、後者も結構多い。民間企業のビジネス・パーソンなのに、そんなことすら思い至らない人もいる。そして、善意で誤った忠告をする人間が一番厄介だ。人を見る目は死ぬまで養わねばなるまい。

3 皆あまり指摘しないが、国家一般--地方上級(全国型など)--市役所のラインナップで応募するなら、「民法」は避けられる。だが、ここに国税を加えてしまうと、民法は必須になってしまう。志望度が1番でないのに、この科目負担はきついだろう。民法を必須科目と考えるのは、予備校的、というか東京中心の発想(特別区では避けられない)であろう。

追申:一般的な市役所勤務の適性とは何か、その質問はナシにしてほしい。私も講師を生業とするビジネス・パーソンだ。ここですべては語らないし、語れない。ましてや、見知らぬ人へのメールでは。


・ 市役所などの面接で地元愛を訴えると採用されやすい?(質問への回答)

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