携帯電話について

 わたくし饗庭 悟は、少なくともビジネスの局面においては、携帯電話等を所持しておりません。現代社会においては非常に奇異に見られることですが、私にとって携帯電話等は不必要なものなのです。そのことについて、意外なほど関心をもたれる方が多いので、以下長くなりますがご説明申し上げます。


 私の職業は「講師」で、それを「フリーランス」という身分で営んでおります。「講師」であるということは講義が仕事であり、フリーランスであるということは移動が多いということであります。講義中に聴講生の前で携帯電話に出ることは当然許されないことですし、公共交通機関による移動中もまた然りです。よって、私の時間の大半は携帯電話にでる(かける)ことができません。
 また、講義先へ私に電話連絡を取られたい方は、そもそも学校・教室または担当スタッフに電話をかけます。私が個人で電話を受け取ることは皆無です。


 この理由が一番重要です。
 私は「フリーランス」という身分です。そんな私には日常的に仕事を共にする仲間はいません。仕事で出会う方のほとんどが年に1~2回しか会いません。週に一回出講するような教室でも、私の仕事は講義で、教室で一人孤独に聴講生と向かい合う仕事ですから、教室のスタッフさんと何か連携して仕事をすることもほとんどありません。会話する時間もごくわずかです。つまり、私がビジネスにおいて関わる方々とは、基本的に疎遠で、いわば互いに「気心の分からない」間柄なのです。
 そういった「気心の分からない」間柄において仕事のやり取りをするときは、どうしてもコミュニケーションの齟齬が生じやすくなります。特に携帯電話等で言葉をやりとりすると、どうしても「言った・言わない」の問題や、聞き間違いといったことが発生しやすくなります。よって、仕事を円滑にするためには、きちんと文書でやり取りした方がよく、それが理由で仕事に関する言葉のやり取りは全てメール等の文書で、つまり、きちんと文字記録に残る形でお願いしております。
 メールですべて完結する以上、携帯電話は不要です。実際、私は東京にいる出版社の方とは、執筆に関して一度も電話や対面でやり取りしたことはありません。


 そもそも私のビジネスは、国際情勢に即応すべき事態になることも、マーケットの動向と連動することもありません。政治・経済の最先端に立って流動性と対峙するようなビジネスではありません。前もって決められた講義を、決められた通りに行うだけです。およそ緊急性とは無縁の仕事であり、よって、携帯電話で誰かと時間を共有する必要がございません。すべてはメールなどの文書で事足りてしまうのです。


 携帯電話をもっていないと私が言うと、緊急の時にどうするの、と返す方が多くいます。しかしながら、その緊急のために携帯電話が必要となる確率は、多く見積もっても交通事故で死ぬ確率と同じです(本当は飛行機事故で死ぬ確率と同じと思っています)。死ぬ可能性があるからという理由で車・バス(飛行機)に乗らないことがないように、緊急事態に備えて携帯電話を持つこともありません。
 それに、私の仕事では山中深く入り込むような事態はありません。いつも文明の中にいます。少なくなったとはいえ、緊急でどうしてもこちらから電話する必要がある場合は、公衆電話があります。
 最も発生する確率が高いと考えられる緊急事態は、交通トラブルに巻き込まれることです。が、もし、私が事故に遇った場合は駅か病院にいるわけですから、そこから電話することは可能です。私が意識不明の重態や死亡に至ったなら、端から携帯電話等は役にたちません。(ちなみに、車は運転しないので渋滞に巻きこまれることもありません。)
 電車の中に閉じこめられたのなら、それこそ周囲にいくらでも携帯電話を所持している人がいます。その人たちに借りれば良いだけのことです。その謝礼で千円札を1枚渡したところで、月々電話料金を払い続けるよりは安上がりです。


 緊急事態については、こちら側が陥るだけでなく、電話をかけてくる側にもあります。約束の時間(私の講義開始時間)の24時間以上前の変更なら、メールで十分対応できます。24時間以内の変更、たとえば講義の中止など、はフリーランスの流儀として受け付けないようにしております。(ただし、台風などの天災はこの限りではありません。)
 この「フリーランスの流儀」について。こんな私でも一時期は携帯電話を所持しておりました。その時期、講義開始の24時間以内に、緊急に必要として変更を求めてくる電話が数回ありました。しかし、そのすべてが下らないもので、大半は電話をかけてくる側の身勝手で我がままな内容でした。外部の人間、特にフリーランスにはそういうのが押し付けやすいのでしょう。私は自分の仕事を守るためにも、(天変地異による変更を除く)24時間以内の変更、こちらの行動を変えさせる言葉は、たとえメールでも受け付けないようにしました。電話にも出ないようにしましたので、当然、携帯電話を日常的に所持する理由がなくなったのです。

 以上です。まとめると、打ち合わせなど仕事の準備を「確実」に行い、一度決められた仕事を「確実」に行うため、ということになります。
 他にもビジネスとは直接関係ない個人的な信条にも合致するという理由もあります(「所持するものは限界まで減らす」「皆がやっていることはやらない」「我がままを聞いてくれるというのが依頼の理由なら私の仕事に価値は無い」その他諸々)。
 また、電話をかける以外の理由(ネットやゲームなど)で所持する理由もありません。電車の中で(時には歩きながら)暇つぶしには不可欠、ということも私にはありません。
 ちなみに、私的な電話はスカイプの方が良いと感じております。


プロフィール

饗庭 悟 : AEBASATOL

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