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P.231の補足記事(1)

補足(1) index
・『裏技の有効性について』の背景
・『裏技の有効性について』の補足
・『裏ワザ』を使ってもいい人とは

 ※この記事は『公務員試験 スピード解説 文章理解』の読者ページからのリンク記事。

TH 's Tongue In Certain Method Part 1 : 『裏技の有効性について』の背景


 『公務員試験スピード解説 文章理解』のP. 231『裏技の有効性について』を掲載するにあたっては、以下のような背景・顛末があった。

 大学受験の世界でも、本文を一切読まずに選択肢を見ただけで正解が導きだせるという方法論を唱える人が何人かいた。わたくしアエバは大学受験の世界にも長く関わってきたが、そのキャリアの中でこういった裏技も一応は研究した。
 しかし、これについて講義で何かを語ったり、質問を受けたりすることはついぞなかった。

 理由は簡単で、肝心の受験生が関心を持たなかったからだ。大学受験生の大半は裏技を端から相手にしなかった。
 いつしか、裏技に関する書籍も大学受験参考書のコーナーから消えていった。


 ところが、公務員試験対策講座で文章理解を講義すると、毎年必ず多くの人から『裏ワザ』について多くの質問を受ける。

 なぜ、大学受験ではあまり話題にのぼらなかったのに公務員試験ではこんなに話題になるのかと思って調べていくと、なるほどと思う原因があったのだが、それを述べるのは別の機会にしよう。(これを読んでいる皆さんなら、もうおわかりであろうが。)

 とにかく、こういう事情があったので私はこの『裏ワザ』について綿密に研究し、本当に詳細な論考をしたため、あの問題集に掲載しようとした。しかし、裏ワザのためにここまで詳しく書くのもどうかと思い、オリジナル版を破棄し、その分量を3分の1以下にした圧縮版を実務教育出版に提出した。
 やがて、それが『第1章 テーマ5:裏技について』として掲載された初稿が上がってきたのであった。

 ところが、その圧縮版が初稿になった段階で、編集者の人たちとの間で『これを載せる必要はあるのか』と議論になった。その詳しい内容は割愛するが、簡単に言えば『「作法」も裏技のようなものなのに、なぜこっちは良くて、あっちはダメなのか?』という意見だった。

 もちろん、「作法」は紛うことなき正攻法である。裏技とよべるようなものではない。問題の作り方と出題者の意図を素直に汲み取って、シンプルに整理すれば「作法」になったというだけのこと。

 だが、「作法」を、私の講義を通じて学んだのならともかく、問題集という文字を通じて学べば、そう思われても仕方がないかもと一応は納得した。

 が一方で、先述したように多くの公務員志望者が『裏ワザ』のことを気にかけているという事情も放っておけないので、彼らと交渉した。

 その結果、あの1ページだけ裏技のためにもらうことにした。そこで『The Talking Column : 裏ワザはF-1』というタイトルの原稿を提出したのだが、これも編集者によってかなりの改変を受けた。変な話だが、本編ではない、あのコラムが一番難産だったのだ。



The Talking Column : 『裏技の有効性について』の補足
including In Front of the Mirror : 『裏ワザ』を使ってもいい人とは

 そのコラムで述べたことの繰り返しになるが、『裏ワザ』は文章理解の全ての問題に適用できない。
 例を挙げよう。、空欄問題、文章整序文問題の大半、説明文系の英文問題、意図的に本文を5分割して選択肢該当箇所を設定した現代文・英文問題、本文文脈の論理形式をすりかえてくる選択肢(問題集P.34参照)や言及なしの選択肢を多く入れてある選択肢群(同P.34)、あるいは『裏ワザ』外しを意図してつくられた選択肢群をもつ問題、これらの問題には対処できない
 ちなみに、文章理解以外の科目では『裏ワザ』はほとんど全く使えない。
 上記のように最も威力を発揮しそうな文章理解の内容一致問題・要旨把握問題ですら、本文の内容や選択肢のつくり方によって効果を発揮しなくなる。その狭い有効適用範囲内でも、『ここにこの単語があるのはすわりが悪い』とか、『違和感がある』とか、そういった非常に感覚的な判断もかなり行わなければならない(『裏ワザ』の解説にはこの類の言葉がよく使われる)。

 仮に、この難易度の高い技術を使いこなせたとしても、これがすべての文章理解の問題に適用できないのは明らかだ。そのことを当の『裏ワザ』を教える人および推奨する人たちも認めている。ということは、『裏ワザ』を用いる前提として以下の2点が挙げられることになる。

第一の前提:『裏ワザ』で解く前に、今目の前にある問題がそもそも『裏ワザ』で解けるのかどうかを先に見極めなければならないことになる。
それとも『裏ワザ』で解きにかかって、その結果『解けませんでした』と判断せよ、ということなのだろうか。
いや、『解けませんでした』と判断できるのだろうか。一つ肢を選択して、それが正解と思い込むことにもつながりやしないか(特に文章整序問題)。

第二の前提:それで『解けませんでした』と判断できた場合、別の方法で解くことになる。
しかし、『裏ワザ』の使い手は他の方法を使うことができるのだろうか。

 要は、『裏ワザ』では文章理解科目で満点がとれないのだ。

 一方、「作法」は別のページでも述べたように応用言語学の知見に基づいており、「まともに読解する」作業の前段階、つまり、「そこにその言葉がある」という「文字認識」の段階で答えを出そうという方法論だ。だから、その方法論の「道の先」には普通の「まともな読解」がある。
 その意味で「作法」は真っ当な正攻法だと言えるし、しかも、その「道の先」まで行かないのだから簡単な方法論だと言える。

 要は、「作法」なら、悪問が混ざらない限り、満点が取れるのである。比較的時間を喰う難問はあっても、確実に満点が取れる。数的処理と比べても文章理解という科目は満点が取りやすいのだから、なおさら確実な方法を身につけておくべきであろう。

 たしかに、『裏ワザ』でも正解に至る問題はある。が、あるというだけで、その数は多くない。仮に多くても全ての問題ではない。仮に1万歩譲って80%正解するとしても、「作法」のように(悪問を除く)100%の方法ではない。80%と100%、どちらの方法を採用すべきか、それは誰でも判断できよう。ましてや裏ワザは難易度の高いテクニックなのだから、なおさら簡単に判断できよう。

 結局、『裏ワザ』は結果論なのである。「この問題は本文をまったく読まなくても正解をえらべましたね!」というのが正解を知って初めて分かるのである。
 そんな方法を使うのは現実的ではない。

 実を言うと、私は裏技をそれなりに使える。本文を読まずに選択肢を見ただけで正解がわかることがある。しかし、それは私が予備校で実際に模擬試験を作成した「プロ」であり、専門的に研究し、指導してきた「プロ」だからできるのであって、多くの科目を短期間で勉強しなければいけない公務員志望者に、そんな方法をお勧めできない。
 自分ができるからといって若者の実情に合わない方法論は教えられない。私自身がある程度できるから、選択肢をみただけで正解を出す技術がどれほど高度で、どこが限界が分かる。
 そう、そんな私でもその技術では満点は取れないのである。内容一致問題・要旨把握問題に限っても、自信をもって選んだものが間違いだったり、まったく正解がみえないことも多々あった。

 『裏ワザ』を薦める人はひょっとしたら、自分は『裏ワザ』を使えるからといった理由で若者に教えているのだろうか。だとしたら、それは人に何かを教える者が最もやってはいけないことであろう。

 というわけで、もうこれで『裏ワザ』についてはお腹一杯になったであろう。ここでこの話題はもう忘れて勉強にも戻った方がよい。

 どうしても実証的な話(私自身が選択肢だけで正解を見抜く方法を解説)を読みたいということなら、先述した圧縮版の論考を読むことになる(長編のオリジナル版はもう存在しない)。当問題集作成のゲラの段階で一度は第1章テーマ5として掲載され、その後差し替えられた原稿である。

→ P.231 の補足記事(2)

 しかしながら、ここであえて『裏ワザ』を使ってもいい場合というのを考察してみよう
 仮にこの『裏ワザ』という難易度の高い技術を習得したとしよう。
 それでも、空欄問題、文章整序文問題の大半、説明文系の英文問題、意図的に本文を5分割して選択肢該当箇所を設定した現代文・英文問題、本文文脈の論理形式をすりかえてくる選択肢(問題集P.34参照)や言及なしの選択肢を多く入れてある選択肢群(同P.34)、あるいは『裏ワザ』外しを意図してつくられた選択肢群をもつ問題、これらの問題には対処できない。したがって、満点はおろか、「作法」を習得した者や、マトモに読解して解答する者たちにも点数は劣る結果となろう。
 にもかかわらず、裏ワザを使う人というのは、それでも構わない人だ。それはどんな人たちか。


 それは他の科目で十分に点数の取れる人だ。


 明確にデータが発表されているのが国家公務員系だけなので、国家一般職でこのことを考察する。

 『一次合格ライン推計』というデータが『受験ジャーナル』の『公務員試験 学習スタートブック』に出ている。そこには基礎能力試験は○点でも専門試験で○点取れれば合格できるという統計が紹介されている(もちろん逆もしかり)。
 たとえば、国家一般職(行政近畿)の平成25年度のデータによると、基礎能力試験の素点が12点(正答率30%)でも専門試験で29点(正答率72.5%)取れば合格できるとのことだ。基礎16点(40%)なら専門27点(67.5%)、基礎20点(50%)なら専門24点(60%)で合格できるとある。
 今度は、基礎20点(50%)を軸に見ていくと、関東甲信越は専門25点(62.5%)、四国および九州は近畿と同じ専門24点(60%)、東海北陸及び中国は23点(57.5%)、北海道・東北・沖縄は専門22点(55%)となっている。
 一般的には、基礎能力試験より専門試験のほうが試験時間も余裕があり、試験内容からも点数が取りやすいとされる。普通程度に真面目に勉強していれば専門試験は70%、最低でも60%得点できるとされるから、基礎能力試験は半分正解すればいいわけだ。
 これを単純に地方公務員に当てはめるわけには行かないが、地方上級でも専門試験は同じ事情なので、仮にその自治体の教養・専門の配点比率がイーブンだったとしても、教養試験は60%、専門の配点が高ければ50%~55%くらいでも合格できるということだ。
 専門試験のない多くの市役所でも事情は変わらず、教養試験は60%あればほぼ間違いなく合格できる。いや、実際には50%を越えれば合格できるところも多々あり、『半分取れれば一次試験は合格にします』と明言している市役所も意外に多くある。
 話を本題に戻そう。つまり、文章理解以外で最低50%、合格確実なラインで60%、点数を確保する実力があるのなら、文章理解で点数は取れても取れなくてもいいわけだから、『裏ワザ』でもいいわけだ。市役所の教養試験でいうなら、全40問のうち文章理解は7問(17.5%分)。それを除いた残り33問で20問~24問(50%~60%)正解できる実力があるのなら、あとは裏ワザで1問でも正解できればラッキーと考えることができるわけだ。
 意外な話だが、『裏ワザ』は有効か否かという問題より、『裏ワザ』を使うかどうかは、教養試験(基礎能力試験)全40問(or 50問)のどこで60%程度の点数を確保しにかかるのかという問題なのだ。もちろん、それは勉強の戦略にも直結するので慎重に考えねばならない。
 そして、慎重に考えれば余計に気付くはずだが、文章理解は専門試験や知識分野のように公務員試験用に暗記する項目がほとんどないし、数的処理のように多くのパターンを覚える必要もない。確保する点数の範囲内に文章理解を入れておいた方が合格ライン60%を越えやすいのである。



 最後に一言。
 ある文章理解の問題集について次のような書評があった。『公務員試験受験業界だからこそ売れてきた本だと言える。大学受験などでは絶対に通用しない類の本だ』。この一節、事実を直視すれば『裏ワザ』解説本に捧げざるをえない。

 ⇒  『公務員試験 スピード解説 文章理解』の読者ページへもどる。
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饗庭 悟 : AEBASATOL

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