残酷な、ある野球青年の選択@講演録:進路と『孫子』(21)

 先ほど野球青年の話をしましたね。彼が独立リーグのテストを受けたと。実は独立リーグというのは、『プロ野球選手への夢を諦めさせるところ』と言われています。夢にけじめをつけさせるところというわけです。ということは、この青年が仮にテストに受かっていたとしても、かなり早い段階で野球以外の仕事によって食っていかないといけなくなるというわけです。独立リーグの選手の給料は高いとはいえませんし、もちろんプロ野球と違って元選手という名声も得られません。したがって、その名声を利用して次の職場を見つけることもできません。彼の挑戦は、仮にテストに受かったとしても、後がなかったわけです。残酷な言い方ですが、人生における勝算のまったくない戦いに、自分の人生を賭けてしまった訳です。「やりたい」という感情を優先したばかりに、戦ってはいけないところで戦ってしまったわけです。どうして、野球を趣味に、余暇の友にできなかったのでしょう。そこで留めなかったのでしょう。それで良かったはずなのに、どうして「戦場」に選んでしまったのでしょう。さらに、彼は次の戦場として、これまた今まで経験したこととはまったく違う世界、いやむしろ今まで不得意としてきた勉強の世界を「戦場」に選んでしまったわけです。なぜ、そんな自分が苦手とするところ、自分に合わないところをわざわざ自分の「戦場」にしてしまったのでしょう。とても残念なことです。
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饗庭 悟 : AEBASATOL

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