スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2月に内々定もらう人、6月に合格もらう人

 つい先日、関西のとある女子大のキャリアセンター課長さんとお話をしていたとき、その課長さんがこんな話をしていました。
 ウチの学生で、採用の内々定が解禁される4月の前、早い子だと2月の頭にはもう企業から内々定をもらってくる者が出てくる、と。そんな学生に課長さんは、そんなに慌てて決めなくとも、もう少しいろんな企業を見てはどうかと、勉強になるから就職活動を続けてはどうかと、そう言います。しかし、学生の方は『その企業と私は相思相愛!』と有頂天になって聞く耳を貸さないそうです。
 似たような話は高校の進路指導の現場でもよくあります。
 高校生が6月ごろにオープンキャンパスに行ったら、その大学のスタッフとの面談で大いに褒められ、『君は優秀だから是非ウチの大学に来てほしい。もちろん試験を受けに来てくれたら合格は保証する』と合格の内々定をもらい、そこへ入学することにしてしまう。そんな高校生に大学側の意図を十分に知る進路指導の担当教諭は、そんなに慌てて決めなくとも、もう少しいろんな大学・専門学校を見てはどうかと、受験勉強を続けてはどうかと、そう言います。しかし、その気になっている高校生は『自分は大学側からスカウトされたのだ』と有頂天になって聞く耳を貸しません。

 この類の話は、失礼ながら、偏差値の高くない学校でよくある話です。

 さて、そのようにして進路を決めた若者には、その後どんな運命が待っているのでしょう。先のキャリアセンター課長さんは、続けてこう言いました。そうやって簡単に決めてしまった人に限って、簡単に職場をやめてしまう、と。かたや高校の先生がよくおっしゃられるのが、やめるところまではいかないまでも入学後に後悔する人は多い、ということ。


 大学スタッフや高校の先生方がおっしゃる内容が、統計的に見て真実なのかどうかを私は知りません。一方で、私はこのことについてこう考えます。

 早く進路を決めてしまう、早目に就職活動や受験勉強を切り上げる、そのこと自体は特に問題ではない。

 ただし、十分な根拠があるのなら。

 早いか遅いかが問題なのではなく、その決断に根拠がどれだけあるのか、その根拠は的確なのか、それが問題なのだ。

 と、そう考えます。一方でもし、就職先・進学先を早くに決めてしまう人が、十分な根拠をもって決断していなかったとしたら、決断した理由は単に、調べたり考えたりするのが面倒だから、早目に決めて卒業まで残りの日々を楽に過ごしたいから、そういうことだと思われます。進路選択に悩んだり、選択のための勉強をしたり、そういった苦しみから早く解放されたい。苦しみから遁れて早く遊びたい。そんな気持ちでしょう。
 そういう気持ちが先にたつと、進路を決めたありとあらゆる言い訳が、「根拠」という名前にすり替わって声高に叫ばれます。相手の企業や学校が自分を認めてくれたのだし、そこは良いところだと自分は思うのだからいいじゃないかと、そう周囲に説明します。自分に対しても、多少の疑念をなかったことにして自身に言い聞かせるように、ここでいいんだと理由を反芻して納得しようとします。早く楽になりたいという気持ちの方が勝ってしまうのです。

 その早く楽になりたいという気持ち、相手企業・学校の都合にあうよう上手く利用されていませんか。ほんの少し立ち止まって考えてみれば分かることです。相手がなぜ自分に、そんな「簡単に」合格や採用の内々定を出したのかを。相手が言うように、本当に自分が優秀だからなのでしょうか。相手の言動の裏にある意図は何なのでしょう。
 その意図に気づかない人がいます。気づこうとしない人がいます。気づかないフリをしている人がいます。気づいているよと言いながら気づいていない人と同じ行動をとってしまう人がいます。

 進路の選択、自分の将来がかかった決断には、十二分に月日を費やした調査と取材、外なる世界への広い観察と内なる心中への深い思考、そして、それらをやり遂げる苦しみを受け続ける忍耐、そういうことが必要なはずです。その忍耐を拒否したとき、人は自分の信じたい「根拠」を安易に信じてしまうのです。若者の将来より組織の都合を優先した「相手の意図」を含む「根拠」を、自身の判断がいかに正しいかの「根拠」にすり替えてしまうのです。
 これは、一部にあくどい大学や企業があるといった、そんな類の話ではありません。むしろ、将来の生き残りをかけて一生懸命な分だけ、根拠薄弱な進路選択をする人よりはマシだと言えます。
 そういうことではなく、ここで理解すべきは、進路選択には十二分に的確な根拠をあげる必要があり、そのためにかけるべき時間を十二分にとる必要があるということ。早く終わらせたい、早く楽になりたい、そういう気持ちを最優先にすべきでないということです。
 もちろん、将来が決まらない宙ぶらりの状態が、非常に苦しいのはよく分かります。何が最適な進路かを考え悩むのが、大変つらいことだというのもよく分かります。しかしながら進路決断の前に、その辛さ苦しみにどんな意味があるのかを知ろうとしてください。
 たくさん勉強をして(自分にとって)良い仕事につき幸せになることと、宝くじを買って大金を手に入れることと、どちらが実現の確率が高いか、その確率にどれほどの開きがあるか、想像してみてください。もしかしたら、人によってはそれを想像することが難しいと感じるかもしれません。そんな人にとっては「進路選択の辛さ苦しみにどんな意味があるか」を考えるのも難しいでしょう。
 しかし、コマーシャルにあおられて宝くじを買いにいくだけなら、スゴく簡単なことだというのは容易に想像できるでしょう。君は進路選択の場面において、「宝くじを買いに」行きますか。


ブラック企業の見きわめ方の前に@草稿
自己PRの構成@「就活ワークショップ」(個人宛文面)

☆饗庭の面接本
『堂々面接回答 ザ・クール・アンサー』(新曜社)
全国の紀伊国屋書店・各大学の生協にて絶賛発売中!

(紀伊国屋書店以外の大型書店でも発売中)
プロフィール

饗庭 悟 : AEBASATOL

Author:饗庭 悟 : AEBASATOL
自己紹介

☆お問い合わせは
aebasatol@yahoo.co.jp

カテゴリ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。