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孫子 十.地形(後半)

 夫れ地形は兵の助けなり。敵を料って勝を制し、険夷・遠近を計るは、上将の道なり。此れを知りて戦いを用[おこ]なう者は必らず勝ち、此れを知らずして戦いを用なう者は必らず敗る。
 故に戦道必らず勝たば、主は戦う無かれと曰うとも必らず戦いて可なり。戦道勝たずんば、主は必ず戦えと曰うとも戦う無くして可なり。故に進んで名を求めず、退いて罪を避けず、唯だ民を是れ保ちて而して利の主に合うは、国の宝なり。
 卒を視ること嬰児の如し、故にこれと深谿に赴むくべし。卒を視ること愛子の如し、故にこれと倶に死すべし。
 厚くして使うこと能わず、愛して令すること能わず、乱れて治むること能わざれば、譬えば驕子の若く、用うべからざるなり。
 吾が卒の以て撃つべきを知るも、而も敵の撃つべからざるを知らざるは、勝の半ばなり。敵の撃つべきを知るも、而も吾が卒の以て撃つべからざるを知らざるは、勝の半ばなり。敵の撃つべきを知り吾が卒の以て撃つべきを知るも、而も地形の以て戦うべからざるを知らざるは、勝の半ばなり。
 故に兵を知る者は、動いて迷わず、挙げて窮せず。故に曰わく、彼れを知りて己れを知れば、勝は乃ち殆[あや]うからず。地を知りて天を知れば、勝は乃ち全うすべし。



 そもそも地形は隊の助けになる。相手をよく調べて勝算を立て、険しいところか平坦なところか遠いのか近いのかを見定める、これが人を率いる者の成すべきことだ。これを知った上で戦いをしかける者は必ず勝ち、これを知らないで戦いをしかける者は必ず敗れる。
 だから、勝算が立てば、主が戦うなと言っても、いつでも戦うことができる。勝算が立たなければ、主が戦えと言っても、戦わなくて構わない。つまり、戦っても名誉は求めず、戦わなくても罰から逃げない、それはただ守るべき者を守り、主にも利をもたらすため、そういう統率者が国の宝と言える。
 下の者への眼差しはまるで赤ちゃんを慈しむように。そうしているから、自分と危険をともにしてくれる。下の者への眼差しは愛するわが子をいとおしむように。そうしているから、自分と生死をともにしてくれる。
 が、手厚く接するだけでは下の者を使うことはできず、愛するだけでは命令することはできず、規律が乱れて統御できないのは、たとえば我ままを言う子供のようで、役には立たない。
 こちらが攻めることのできる状態になっていることは分かっていても、相手がこちらの勝てる状態になっているかどうかが分からなければ、勝算は半分しか立たない。相手がこちらの勝てる状態になっていることは分かっていても、こちらが攻めることのできる状態になっているかどうかが分からなければ、勝算は半分しか立たない。相手がこちらの勝てる状態になっていることは分かっていて、こちらも攻めることのできる状態になっていることが分かっていても、地形が戦うのに不利になっていることが分かっていなければ、勝算は半分しか立たない。
 よって、戦いを知る者は、動いては迷うことなく、攻めては追い詰められることなく。だから言うのだ、相手の真実を知り自分の真実を知れば、勝利は危なげない。地の利を知り天の時を知れば、勝利は完全なものとなる。


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饗庭 悟 : AEBASATOL

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