甲西高校 入試対策【国語】

読解問題講義レジュメは前日の記事となります。

○講義内で解説できなかった残りの設問の解答・解説は以下の通りです。

問一 
ア 隔絶  ①輪郭 ②比較 ③隔離 ④地殻
イ 欺瞞  ①詐欺 ②疑念 ③便宜 ④真偽
ウ 寡黙  ①渦中 ②佳人 ③災禍 ④多寡
エ 不断  ①団塊 ②断腸 ③格段 ④弾圧



問二 
 空欄問題なので「つなげる」問題。 
 空欄は指示語「そうなってこそ」を受けている。その指示内容は「彼は~同じような人間のうちに自分を感じ、」「彼らの嘆きに心を動かされ、」「彼らの苦しみに心を痛めるようになる。」という「、」で並列的につなげられた3つの述部。
 空欄は後ろで「呼び起こす」という言葉で受けられている。
 よって、正解は「呼び起こす」もので、「自分を感じ」「心を動かされ」「心を痛める」という意味を含められるもの。
 ここで注意すべきは「嘆き」「苦しみ」を根拠にしないこと。そうすると、②絶望が正解に見える。しかし、あくまで空欄はそのうしろ「彼の心」の話。「嘆き」などは「彼らの」話。「彼らの」「嘆きに」・「苦しみ」に対して空欄Aを心に「彼」が呼び起こすのである。
したがって、「感じ」「動かされ」「痛める」の3つの語を意味的に受けてもても良さそうなもので、「呼び起こす」ものは⑤の感動しかない。
 ただ、「痛める」を感動に含めるのにはやや無理があり、その意味では余り良問とはいえない。だから、これは不正解になってもよい。このように入試問題には、これは落としても仕方がないという問題は混ざっているもの。あまり気にせぬことだ。



問三 
 「理由」をきかれているので「つなげる」問題。
 傍線内の指示語「その意味」の指す内容は「苦痛」なので、「現在の苦痛とともに、苦痛の意味を生きさせられてしまう」その理由を聞かれていることになる。
 この傍線①の場合、「が」という逆接の接続助詞から始まって、その前は動物の話だから、そこからは根拠は探せ出せない。
 後ろを見ると、接続詞ナシで(=同じ論理の流れで)「人間の情念は想像力的」「それゆえ、人間は現在のうちにありながら、また現在を脱け出してしまう」とある。そんなに意味の難しい文ではないが、たとえ意味が分からなくても、「情念」とか「想像力的」とか「現在」とかがいう語が多く入っている選択肢を優先的にチェックする。
 すると、選択肢③が「想像する」「現在」などが一致。選択肢④も「情念」「想像力」が一致するので、この2つで勝負。ところが、④は後半「知的に判断する力」というのは傍線①後の文脈で確認できないので、これが言及なしと判断。ほとんど余計なことが書かれていない③が正解。


問四 
 答えに対する問いを聞かれているので「つなげる」問題。
 ということで単純に問いを探す。こういうものは通常その前に有るので、遡ってみていくと、「現に有る唯一の生を忘却し無にしてしまうことではないのか」とある。しかし、この文の言葉に合う語句が含まれた選択肢にない。
 また、傍線内の「一義的ではない」という言葉にまったく合わない。そう思ってもっと前を遡ってやると、傍線②の2行前に「人間の栄誉なのか、それとも悲惨であるのか」と、問いを表す「~か」が二つも出てきたので、「一義的でない」=両義的である、という文脈に合致する。
 「栄誉か、悲惨か」を根拠にすると、これに引っかかるのは選択肢④しかないので、迷うことなくこれが正解。これは正解して当然の問題。


問八
 筆者の考えを「ひろう」問題。ただし、「明らかに合致しないものを一つ」選ぶ問題なので、選択肢からチェックしても問題ない。が、ここで筆者の主張を確認しておこう。

 3段落及び5段落で筆者は「人間を想像力的存在として定義したルソーを、われわれの生の警告者として役立てることができる」としている。では、どんな警告か。
 その「われわれ」現代の人々のことを語る前に、筆者はさらにルソーの言葉を深堀する。6段落の譲歩「なるほど」と7段落の引用という「前フリ」を受けて、8段落の「しかしながら」以下で、その核心に触れる。「~憐れみが唯一肯定的な想像力のはたらきとして考えられるのは、ルソーが人間の悲惨と苦悩を人間の根源的な存在条件として考え~」ているとしている。つまり、人間は生きている以上、必ず苦しい目に会うから、そういう他人の苦しみを想像するたちからとしての憐れみはあっていいのだ、ということだ。
 10段落の「なるほど」という譲歩構文を受け、11段落でそれを「しかし」で受け止めた上で、「他方において」、つまり、先ほどの話とは違う流れになっていく。11段落2行目、想像力は「~ではなく、反対に~人間を~空しき逃亡へ連れ去るもの」としている。3行目「そして」、筆者は言う。「現代の日本及び西欧の社会ではこの欲望の想像力次元の産業化こそが文明の主題」になっていることを。
 しかし、そういう現代では人間は「自己の生の根源に向き合うことはない」(12段落5行目)。それゆえに「自己を喪失する」(12段落最終行)。
 つまり、ルソーが言うように、人間は人の苦しみといった不幸を想像できる。他方、幸福も想像できる。その想像された幸福を商品化しているのが現代だと言っているのだ。
 それで最後に筆者は言う。幸福の方ばかり想像していいのかと。「不幸への想像力をなくした時、われわれは幸福への想像力も失うのである」と。
 総じて、いかにも現代文問題に出題されるような文脈の読みにくい文章である。



 さて選択肢だが、①は後半が「それが(想像力が)幸福であるといいきれない」とあり、今確認した筆者の主張とはあまり関係ないので無視。「明らかに合致しない」ものを選べば良いのだから曖昧なのは放っておく。ちなみに①の後半は3段落の「人間の病の源泉ともなる」に一致するが、これは「ひろう」ことができなくてもよい。
 選択肢②は現在の文明の不幸の原因が「想像力的存在者としての人間の在り方を肯定した」ことにあるという。しかしこれは、「欲望の想像力次元の産業化こそが文明の主題」(傍線③)になったことが人々に不幸への想像力を失わせ、「自己を喪失する」ことにつながったという、11段落後半から最終段落の筆者の主張と矛盾する。よって、これが正解。
 ここで選択肢のチェックは実際の入試本番ではやめてしまう。明らかに矛盾するものが見つかっているのに、不安な気持ちから他を見ると、時間が取られるばかりでなく、下手に迷ってしまう。
 選択肢③辺りは、その下手に迷う選択肢かもしれない。しかし、この選択肢にある「連帯」という語が問5絡みで出てきたこと思い出せれば、根拠を「ひろう」べき箇所がスグに6段落だと気付く。そこに「連帯的つながりを~設立」とあるので一致すると分かる。
 選択肢④は今まで見てきた12・14段落に一致するのはスグ分かろう。選択肢⑤も12段落傍線④の前後に絡むのでスグに根拠を見つけられたと思う。


以上。本日の受講お疲れ様でした。質問・ご相談などがあればメールにてどうぞ。

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