面接官(採用担当・人事担当)は応募者の嘘を見抜けるのか@「就活ワークショップ」

 面接の指導をしていると『面接で嘘をついていいか』とよく質問されます。倫理・道徳的な意味合いでこう質問すると答えがNOであることは明白ですので、その意味合いで質問する人は皆無です。
 『面接で嘘をついていいか』という質問は正確には、『面接で嘘をついてもバレないか』であります。その質問に対しては、

「それは君の嘘をつく技術と面接官の見抜く技術と、そのどちらが優れているかの問題でしょう。まずは、君が嘘をつき通すことができるだけの技術を持っているか否かを問わねばなりません」

と答えることになります。

 それで、面接官はどれほど見抜く技術を持っているのでしょう。
 ネットやビジネス雑誌では、採用面接を経験した企業の人事担当・元人事担当の言葉が数多く見られます。そのほとんどは、『応募者が本心で言っているのか、嘘をついているのかは、その様子や発言内容で、それなりに分かる』というものです。
 これは、採用担当者が読者である応募者を牽制するために発言しているだけかもしれませんが、本気で『応募者の嘘はスグに分かる』と認識している可能性も有ります。

 ですが、そういう認識には注意が必要です。


 そのことについて、面接を受けた人を『採用・不採用』と『正直・嘘』の2つの要素で分類したうえで考えてみたいと思います。分類は次の4つです。

(1)正直に話して採用された人
(2)嘘をついて採用された人
(3)正直に話して採用されなかった人
(4)嘘をついて採用されなかった人


 採用担当者が『応募者の嘘はスグに分かる』と言っているのは通常、(4)のことを言っているのでしょう。ここで大事なことは、採用担当者は(2)を認識し得ないということです。
 仮に採用担当者が面接において10人の応募者に嘘をつかれたとしましょう。そのうち、6人の嘘を見抜いた場合、残りの4人は嘘をついたとは思っていないわけですから、採用担当者の中では「100%の確率」で「嘘を見抜いた」ことになります。そして、採用担当者は残りの4人が嘘をついた事実を面接後、余程の機会がない限り、認識することが出来ないのです。

 そして、(4)はまさしく嘘をついたが故に不採用になったわけですし、採用担当者の認識では(2)は(1)とイコールで、嘘を見抜いていないが故に採用したのでしょう。
 (※ 『嘘を見抜いた上で採用した』事例は稀だと思われます。そのことについて詳しく考察できるのですが、ここでは割愛します。)


 採用担当者は知らないのでしょうか。大学には『嘘をついて内定を獲った』と吹聴して回る輩が男女とも少なからずいるのを。そして、その発言だけが彼・彼女らが唯一正直に語ったことであるのを。


 いや、本当は知っているはずです。知らないフリをしているのでしょう。採用担当が『応募者の嘘はスグに分かる』というのはやはり応募者への牽制と見るべきでしょう。なぜなら、マトモな採用担当者なら、応募書類や何度かの面接で(しかも面接という形式で)は人物の判断は難しく、そんな乏しい情報では嘘も見分けられない場合があるということを認識しているからです。(これは採用担当者の力量というより方法論の問題です。)

 いま「嘘も見分けられない場合がある」と述べました。そうなのです。応募者の発言が嘘か本当か見分けられないということは、応募者が正直に発言していたとしても、それが本当のことだと見抜けない場合もあるということです。嘘をついていると思ってしまうのです。特に、過去に面接官を務めて『応募者に騙された』と自覚のある人は疑心暗鬼になっていますので。


 実はこの記事で最も述べたいことはこれです。採用担当は嘘も、そして正直な話も、どちらも「見きわめることが困難」なのです。ただ、『この人は正直に話している』とか『この話は嘘だ』とか、「そう感じる」だけです。応募者の話が嘘か本当か簡単に分かる場合もあるというだけで、それが採用担当の記憶に強く残っているだけのこと。実際は、採用担当者の認識外で、嘘・本当の判断が間違っていることは多々有るのです。

 これは面接で正直に誠実に自分を語っても、相手に伝わらないことがあるということです。

 よって、嘘を言うのであれ、正直に話すのであれ、応募者が意図している通りに相手に自己アピールを伝えるためには、それなりの表現の工夫が必要なのです。「表現が洗練されていない嘘」も「表現がされていない正直な話」も、面接官の認識では両方とも『嘘』なのです。
 逆に、「表現が洗練された嘘」と「表現がされた正直な話」は、面接官の認識では両方とも『正直な話』です。要は、何を語るにしても表現を工夫しなければならない、そのための準備の時間を十二分に取らなければならない、そういうことです。そのことを前にすれば、発言内容が嘘か誠かなどは二義的三義的問題であって、先の4分類で言うなら、応募者は(3)(4)にならないよう全力を尽くさねばならないのです。応募者にとって(3)か(4)かの違いは問題ではなく、(1)(2)か(3)(4)か、まずはこちらが先に問題となるわけですから。



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