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6時間

公務員試験にかかるコスト
~時間編~



 公務員試験で内定を獲得するためには、どれだけの時間が対策に必要か、と問うのはあまり有意義ではない。学生・転職組など、各人の置かれている状況や経歴(特に大学入試)、年齢、能力など千差万別であり、したがって必要な時間もバラバラだからだ。それに一般論から言って「量より質」。特に、面接や討論対策は、何時間かけて練習・「取材」したかは問題ではなく、何を「取材」し、それをどのような表現技巧を用いてアレンジしたかが問われる。
 そして何より、これは就職試験であって資格試験ではない。一次の択一試験の合格はともかく、最終合格は、受験生の経歴・習慣・性格に根差した適性・志望先との相性、そういうもので決まる。時間=勉強量で内定が決まるものでもない。
 それでも何か目安が欲しい、と思う気持ちは理解できる。ましてや一次試験については、明らかに『頭の良さではなく勉強した経歴の長さ』を問うている出題形式になっているので尚更だ。「質より量」なのだ。
 いやいや、もちろん勉強の「質」は問われる。公務員試験受験者は、勉強時間が余り確保できない状況にいる人が多いからだ。同じ時間でも賢い時間の使い方が、つまり「質」が問われる。だが、ここでは「量」だけを考察しよう。「質」については別稿でも言及しているので、そちらを参照してもらうとして、まずは「丼の大きさ」だ。中身の「味」は各人の好みがあるから。


 こんな風に考察してみた。

 『世界史』をきっかけに考えてみよう。ある大学3回生が近畿圏の府県庁を志望してたとする。その受験生は『世界史』を大学受験で選択しておらず、高校2年生時の学校の授業でしか勉強したことがない。すなわち、ド素人だ。あなたも、このような科目、公務員試験受験を決意して初めて本気で取り組む科目があるだろうから、それにあてはめて想像してほしい。
 さて、時は受験前年の未だ夏休み。まだ余裕がある。だからこの受験生は、この科目の持つ膨大な分量に飲み込まれないようにするために、時間のあるうちに、他の科目をお休みにして『世界史』だけ集中的に勉強することにした。

 どんなものでも繰り返さなければ記憶できない。1回見ただけではほとんど記憶できない。2回見て記憶に定着していれば、まだいい方だろう。それほどに記憶には繰り返しが必要だ。だから、テキストや問題集を何周かしないといけない。何周も回すことを最初から計画に織り込むのなら、肝心なのは1周目だ。1周目が一番辛いからだ。そして、つい覚えようとしてしまう。それでは1周目がなかなか終わらない。前に進まない。焦る。だから、君に言うのである。記憶していないことを恐れず、「どうせ何周もしないと覚えられないのだから、今覚えなくてもいいや」と開き直って、とにかく早く一周し終えよ、と。一周し終えることを最優先する。覚えていなくてもいい。なんとなく「見たことあるなぁ」という状態にさえなっていればいい。いや、それさえもあやふやでいい。細かいところも飛ばしていい。とにかく重要事項だけを、まずは「理解しようとした」という経験だけを身体に植えつける。何周もできるよう、まずは1周目を早く終わらせることに集中せよ。

 そういう饗庭のアドバイスを受けて、受験生は『世界史』に集中した。

 さて、ここからが問題だ。
 この受験生は何時間で『世界史』の初めての1周をこなすことができるだろうか。記憶できてなくてもいい、重要事項だけでいい、と言われてもあの膨大な『世界史』。果たして何時間かかるだろう。

 仮に半日の12時間かかるとしよう。次に、『世界史』を何周すれば、試験で使えるほどの実力に到達するだろうか。これも仮に5周としよう。何周もすれば経験値が高まり、時間は短縮できるが、一方で追加の暗記事項も増えるので、最後の5周目も12時間を費やしたとしよう。

12時間×5周=60時間。

これで1科目を仕上げたことになる。
 その『世界史』は、地方上級全国型教養試験では50問中2問の出題である。

全出題の4%。

ということは、60時間を使って4%分の勉強をしたことになる。ということは教養試験全体の勉強は、4%×25で100%なのだから、60時間の25倍を費やさないといけない。すなわち、

1500時間

である。しかも、これは教養だけだから専門を加えれば

倍の3000時間

ということになる。
 これを1年≒360日として割れば

1日8.3時間

となる。教養だけだったとしても1日4.1時間だ。
 この話には、1周:y時間×z周×25×2、という流れの y と z の数値をどうするかという問題がある。また、捨て科目や各科目の出題数、時期など細かいことを考慮して勉強時間を考えないといけない。この辺りのことは饗庭の著作『ローテーション法』を参照していただければありがたいが、このように出題者が提示する出題数に応じて、コストを数値化するという「考え方」そのものは有意義であろう。
 今度は逆算してみよう。仮に休みなく360日を平均5時間ずつ勉強したとしよう。総勉強時間1800時間だ。この半分の900時間を教養試験に当てたとして、900を25で割ると36時間。

『世界史』1周:9時間×4周

といったところか。


 あるアンケート調査によると、合格者の一週間の勉強時間で最も多かったのが35時間前後。意外にも、30時間以下という合格者も全体の3分の1いる。ただ不合格者の約7割も30時間以下だ。やはり、休みナシなら

一日5時間で週35時間・年1800時間

週一休みペースなら

一日平均6時間

をキープ
することになる。学生やバイトをしながらの方なら、この辺りが現実的か。もちろんこれは択一試験(専門含む)だけの話で、小論文や面接対策の時間は入っていないから、志望先の情報収集や志望動機・自己PRを書く時間(これが意外に何時間も取られる)などの時間が上記の時間にプラスされる。

 もう一度言う。トータルで何時間勉強すれば内定にたどりつけるかと考えるのは、時間以外の要素が絡む以上、それほど有意義なことではない。が、一次試験だけを考えるなら

一日6時間

という数字を目安として覚えておけばいいだろう。

 ただ、ここで勘違いしてはいけないのが、この数字はあくまで自習の時間を表しているということ。やはり学力は、自分の頭だけで考えたり解いたり覚えたりするから身につく。自力だけでテキストを読み・問題集を解く、その訓練が少なければ少ないほど本番での対応力がなくなる。なぜって、本番では自分の頭脳しか頼るものはないのだから。よって、聴講の時間はこれに含まれない。

 そう考えるとこの一日6時間という時間の確保は、既卒生で勉強に専念している人以外は、結構大変だということがわかろう。この支払うべきコストをキチンと支払うためには、何かを捨てねばなるまい

プロフィール

饗庭 悟 : AEBASATOL

Author:饗庭 悟 : AEBASATOL
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