第一志望非在論(9)

 良心的とはいえない面接官、未熟な面接官に『当社が第一志望か』と尋ねられた場合、どう返答するか。
 基本スタンスは(6)~(8)で示した応答と変わりない。が、あえて面接官にプレッシャーをかける応答をしておくのも良いだろう。
 面接は応募者と採用担当の間で交わされる対等な契約交渉なのだ。まずは君がそのことをしっかり意識すること。そのうえで面接官にも対等な交渉であることを気付いてもらうために、

採用側がこの面接での応募者の言動を見て採否を判断しているように、
応募者もこの面接での面接官の言動を見て入社する・しないを判断する


ことを相手に意識させなければならない。
 この意識のない面接官は、上から目線でモノを言ったり、準備を怠って拙い質問をしてしまう。そういう傾向が見られる面接官には以下のような応答をするのも一つの手だ。

面接官「第一志望はどこかな。」
応募者「御社が第一志望です。」
面接官「ほんとう~に~。疑わしいなぁ。」
応募者「では、本当のことを申し上げます。」
面接官「それそれ、最初から本音で話して。」
応募者「私の中に第一志望という考え方はございません。応募先全てに同じだけの誠意をもって面接に臨んでおります。」
面接官「ふ~ん、そうなの。でも、そんな綺麗事はいいよ。それで、ウチからもヨソからも内定が出た場合どうするの。他社さん断ることできるの。」
応募者「御社からも他社からも内定が出た場合は、またご相談に参ります。」
面接官「ほら、やっぱり他社さん断れないんだ。」
応募者「先程も申し上げましたように、全ての応募先を対等に考えておりますので、複数社から内定を頂いた場合、そこからの判断となります。その判断のために、内定先へまたお邪魔することになると思います。」
面接官「自分ひとりで判断できないの。」
応募者「独力で判断する場合は、面接の時のことをよく思い出してから判断します。」

この「面接のことをよく思い出して判断する」を言うと、大抵は面接官が威儀を正す。なかには笑顔で『それはプレッシャーですねぇ。私たちも見られているのだから、きちんと対応しないとね。』なんて言ってくれる面接官もいる。
 私が監督する『就活ワークショップ』のメンバーで、かつて「面接のことをよく思い出してから判断します」と言ったら、こう返されたことがあった。

面接官「えっ、そんなことで判断していいの。」

これに対しての切り返しはこうだ。

応募者「面接とは対等な契約交渉だと考えております。面接でのやり取りは、契約する・しないを判断するうえで、重要な情報となり得ます。」

これくらい言ってもバチは当らないし、もしこれで君の印象を悪くするような相手なら、そこはそもそも君が身を預けるのにふさわしい組織ではないということだから、気にすることはない。このことは他の記事に詳細を譲るが(≪面接など就職活動関連記事≫参照)、とにかく堂々とした態度で面接には臨むべきだ。


 なお、第一志望非在論(1)~(5)でも述べたように、本心から第一志望という概念は棄てた方が良いが、さりとて人間ゆえ、気持ちが強くなる応募先が出てきても仕方がない。そんな応募先から内定をいただければ天にも上る気持ちとなろう。
 だが、それでも以上の問答にあった「複数社から内定をいただいて、そこからの判断」という姿勢は持っていたほうが良い。何も慌てて就職活動を終える必要はない。ひとつでも内定が出たのなら余裕があるのだから、返って冷静に企業や社会のことを見つめることができる。第一志望先も時間をかけて見ていけば、自分の思わぬ情報が手に入る。
 後で「こんなはずじゃなかった」と思わないようにするためにも、慌てないことだ。

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饗庭 悟 : AEBASATOL

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